山嶺

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さあ、登るばい!!

伯耆大山

(登山学校ACコース)

2006年2月11日〜12日

報告   染谷大地
メンバー 登山学校ACコースメンバー 染谷大地


大山山行前、僕は不安でいっぱいだった。
一泊かけての山行になるので、夜は山中で過ごすこととなる。

これが一番の悩みの種で、

自分の寒さ対策は万全だろうか?
夜は眠れるだろうか?

と、何度も何度も装備をチェックした。
それにザックを眺めると、
使用したことがない装備もたくさんある。

うまく使いこなせるだろうか? 
道具選びはこれでよかったのだろうか?
途中でバテることはないだろうか? 

不安は次から次へと沸いてきて一人憂鬱になっていた。
こんな状態が何日も続いていたが、いざ山行の当日になると
「なんとかなるだろう」という気持ちになっていた。

ありがたい性格である。こんな調子で大山に挑むこととなる。

一日目
 
朝、車の中で目覚める。
僕は運転もせず熟睡していたので目覚めは良かった。

その後急いで道具を整える。
まだ周囲は真っ暗でヘッドランプを頼りに準備をするが、予想していたほどは寒くない。

その後、登山届けを出して大上山神社へと向かう。
夏の大山には登ったことがあったので、見覚えのある道を見つけては懐かしさを感じる。

登山道に入ると、時々ラッセルの訓練といっては道を外し、
ふみ跡のない雪の上をラッセルをしながら歩く練習をする。

雪が湿っていて、ラッセルをした跡が崩れにくく、意外と歩きやすいことにほっとした。
そんなことをして雪質を楽しみながら歩いていると、下宝珠越方面への道との二俣に出、
その付近で急坂を探し、スタンディングアックスビレイやシリセードの制動の訓練を行う。

雪の上を滑るといったらスキーやスノーボード、スノーシューだけのものだと思っていたので、道具なしで雪の上を滑るといったシリセードの発想にびっくりした。
この訓練はおもしろかった。

その後、元谷小屋に到着。今度は六合尾根を登り六合目避難小屋へ向かう。
「これは雪崩が起こった後なんだ」と講師が教えてくれたが、
実際の雪崩を見たことが無いので実感が湧かなかったが、
実際雪崩に起こられては大変なので急いで登り、六合目非難小屋へ到着。

そこから少し歩くとものすごい風で、視界も悪く、旗ざおの赤布を頼りにひたすら登る。
風は強いながらも寒さは耐えられないほどではない。
視界がほとんどないことに心細さを感じていたが登山学校の皆がいることで安心できた。
僕は不安だったが、講師は冷静な助言で励ましてくれた。

精神力みたいなものは、技術や体力、経験などに裏付けられたものなのだろうなと感じた。
やっとの思いで頂上小屋に到着。

しかし、その小屋の様子を見て大仰天。夏の小屋を知っているが、これがあの二階建ての小屋とは思えない。
下手したら小屋があることにも気づかないかもしれない。
雪はこんなに積もるものなのかと改めて自然の偉大さに感心した。
「これで休める」と思ったが、安心したのもつかの間、
「今から雪洞を掘る」とのこと。
頂上小屋の裏手に回り、雪の壁を前にして僕は憂鬱になっていた。
吹雪があまりにも強くて結局雪洞訓練が中止になったのことに、正直ほっとした。 

そこで、小屋に入ろうとするが、次から次へと降ってくる雪で扉が閉ざされている。
スコップで雪を掻き分け中へ入る。

早く休息できることを望んでいたが次から次へとやらなければならないことが出てくる。
ピッケルやアイゼンをまとめほかの登山客の邪魔にならないところに片付け、
自分たちが小屋に入るときに一緒に小屋内に入れてしまった雪を掃除し、
水を作るために雪を外に取りに行き、びしょびしょの装備を干し、食事の準備をした。
次から次へと仕事が出てきて目まぐるしさを感じた。

しかし、疲れを感じながらも気持ちの良い充足感を感じていた。

その後、晩酌をして就寝。明日の日程に思いを馳せながら眠りにつく。

二日目

朝4:00起床。目覚めは良い。
5:15食事をしながらミーティングをし、各自道具を整える。
6:30外の様子を伺う。雪も風も激しくひとまず待機。
7:00まで様子を見て出発。

ここからは2パーティーに別れ大阪方式のビレイの練習をしながら登りと同じルートを下山。
視界は悪いが昨日ほどの吹雪ではない。
8:40六合尾根非難小屋に到着。
小屋は相変わらず雪に埋まっている。
そこからシリセードで六合尾根を下り、 9:30元谷へ到着。

ここで雪洞を掘る訓練を行う。
はじめはイグルー作りをしたが、これは雪のブロックを積むのが難しく途中で断念。

その後雪洞を掘る。
まず斜面の雪を踏み固め、
硬くなった部分をスコップで掘っていき、
雪がたまったら、それをツェルトに包み外に出す。

ひたすらその手順の繰り返しで、腕がだるくなる。
1時間ほどで4人が横になって寝れる大きさの雪洞が完成。
中でお茶を飲んだが、予想以上に中は暖かくてびっくりした。

しかし、今回は訓練だから体力もあまっていたし、
精神的にも余裕があったが、
いざ必要にせまられて雪洞を掘らざるをえない状況になったらどうなるのだろうかと感じた。

その後、シリセードの制動や各種雪上のビレイの訓練を行い、2:20大上山神社に到着。
今まで身に着けた技術を実践するいい機会になったが、体力も技術もまだまだだなと思った。この経験を今後に活かしていきたいと思った。

登山学校の一年間を通して

 登山学校の一年間を通して、一番良かったことはたくさんの経験をできたことである。
やはり、山をやっていても岩登りが好きな人、沢登りが好きな人、ハイキングのみをと行う人とさまざまな嗜好を持った人がいる。
僕も九州に来てからは岩登りに行くことが多く、沢でのビバークや雪山での雪洞堀り、アイスクライミング、天気についての講義などは未知の世界のものであった。  それを、登山学校に参加することで、一通りの分野は網羅することはでき、山の世界が広がったなと思うことができた。
確かに、一通りの知識や技術を体験することができたといっても、月に一回の山行では学んだ内容のほとんどが不完全燃焼に終わっていた。
復習も十分にはできていなかったなと反省もする。
しかし、一度経験するといった意味では成果は大きいと思う。
きっと同様の山行ならば、次からは
「やったことがないから・・・」と物怖じするようなことも少なくなることだろう。
今度の山行からは登山学校の経験を足がかりに、より一層技術や知識の習得に励み、山の楽しさを感じていければと思った。




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